大好きな日本とタイをつなぐ人材になりたい
岡山大学・グローバル・ディスカバリー・プログラムに本校から進学したサンセムサップ・アンポンさん(朝日塾中等教育学校14期卒業生)が、岡山大学のホームページにまた掲載されました。
―IB校に入るまでの学びの環境
タイで生まれ、タイで育ちました。幼い頃から日本のポップカルチャーが大好きで、よくアニメを見ては日本語の歌をまねして歌っていたのを覚えています。小学5年生の頃、1年間シンガポールに留学しました。姉が留学するタイミングで「お姉ちゃんが行くなら私も!」とついていった形です。元々タイではタイ語を使う生活でしたので、英語力がぐんと伸びたのはそのときだと思います。タイへ戻ってきても相変わらず日本が大好きだった私は、中学校へ入るタイミングで日本への単身留学を決意しました。小学校卒業後1年間、タイの日本語学校で日本語を学び、中高一貫6年制の朝日塾中等教育学校へ入学しました。実は、朝日塾がIB教育を導入したのは私が中学2年生のときでしたので、IBがしたくて朝日塾に入ったというわけではありません。その頃はただただ「大好きな日本に行きたい!」という気持ちでの来日でした。岡山を選んだのは、自然災害が少なく、安心できると思ったからです。
―IB校での経験
中学生で単身留学と言うと驚かれますが、ホームシックになったのは1~2日だけ。寮生活にもすぐになれました。中学2年生のとき朝日塾にIB教育が導入され、私はその一期生となりました。IBでは、Middle Years Programme (MYP)というプログラムを受けた後、高校生の途中からDiploma Programme (DP)というカリキュラムへ進むかどうかを選べます。同級生の大半が文系もしくは理系を選んだタイミングで、私はDPを選びました。先生が教壇で話す『講義型授業』よりもDPの『ディスカッション型・探求型授業』の方が自分に合っていると考えたためです。学年には30~40人の同級生がいましたが、DPを選んだのは6人だけ。そこからの生活は論文、そして自己管理との闘いでした。DPではとにかくたくさんの論文を書く必要があり、次々に迫ってくる締め切りの中でスケジュール管理をしながら仕上げていかなければなりません。また、CAS活動という必修の課外活動がありますが、こちらは待っていればやるべきことを指示されるというものではなく、自分から行動し、「創造性」「活動」「奉仕」の少なくともいずれか1つに該当する取り組みを行う必要があります。私は地域で無くなってしまった祭りを復活させるため、民間の会社と協力しながら活動を進めました。残念ながら在学中に祭りの復活まではいきませんでしたが、私が卒業した翌年に祭りが復活し、盛り上がりを見せてくれました。私もすでに卒業はしていますが、つながりが続いているおかげで、今年は2年目の開催を手伝うことができました。
【ラストサムライ瀧善三郎の故郷に455年ぶりに復活させた「七曲七夕みたま祭り」】
―岡山大学に進学した理由
DPの勉強のおかげで色々な分野に興味を持つようになった私は、なかなか大学で勉強したい分野を絞ることができませんでした。そんなときに、学校の先生からグローバル・ディスカバリー・プログラム(GDP)について教えてもらい、色々な学問の領域を横断しながら勉強できるという点に惹かれました。IB生にはIB入試という入試方法もあるのですが、GDPはIB入試を実施していなかったため、他の学生たちと同じくディスカバリー入試を受験しました。IB入試は無いものの、IBスコアを提出し、これまでの活動も評価してもらいました。
【ディスカバリー入試でのプレゼン資料】
―岡山大学での学生生活
GDPでの学びは、私がIB時代に好きだった科目である「知の理論」(TOK: Theory of Knowledge)の延長線上にあると感じています。講義形式ではなくディスカッションが多いところは、まさにIBの力が生かされています。学生が意見を発信することを大事にしてくれている先生が多いこともGDPの魅力です。また、私はIB時代も多国籍文化の中で学習をしてきましたが、今は当時以上に色んな国の人たちがいて、さまざまな視点からディスカッションできることがとても楽しいです。大学生になると、IB生だった頃とは少し違った自己管理能力が必要になりました。課題の提出期限に加え、単位の管理、勉強とバイトの両立、支出の管理などです。私は一人で日本に留学してきているので、自分の力でなんとかしなければならないことが多くあります。また、大学生になり、すべての支出をバイトで賄っているので、試行錯誤を繰り返しながら頑張っています。
―将来・進路について
今は色んなことを経験しようと努力していますが、自分がやりたいことはまだはっきりとは見つけられていません。本当にやりたいと思えることを見つけ、打ち込んで、全力でやってみたいという思いが強いです。夢中になってできることを見つけられるように、これからも色んなことに挑戦していきたいです。どのような形でも、大好きな日本と母国のタイを何かの形で繋ぐ人材になれたらいいなと思っています。
【バンコク日本博で人気YouTuberのBeam先生と一緒に日本とタイを繋ぐ】
-IB生へのメッセージ
IBではレポートや課題など大変なことも多々ありましたが、そこで育んだ力は大学生活でも活用できるものばかりです。私のように色んなことに興味がある人に、GDPはとてもおすすめです。実は私は、DPの模擬試験が被ってしまいオープンキャンパスに参加することができなかったという心残りがあります。GDPに興味がある皆さんは、私の分もぜひ計画的にオープンキャンパスに参加してください(笑)!
【参照資料】
「IB生の声」.『岡山大学について』.国立大学法人岡山大学.
2024年11月19日参照.
朝日塾中等教育学校公式YouTube.「本気の留学生が語る!~朝日塾で6年間学んだらこうなった⁉~」.