遺伝的浮動をシミュレーションしてみよう
先日、高等部2年生と3年生において、遺伝的浮動に関する実習をおこないました。
遺伝的浮動とは、偶然による遺伝子頻度の変動のことをいいます。限られた大きさの生物集団では、次世代を残せる個体の数も限られています。そのような集団でも、遺伝子型の違いによる生存や繁殖上の差はないので、任意交配であれば、どのような遺伝子が次世代に伝えられるかは、偶然任せとなります。
今回は、ある対立遺伝子を碁石の白色と黒色で表現し、上記の偶然による遺伝子頻度の変化を求め、グラフ化する実習を行いました。
手順
①白の碁石と黒の碁石、それぞれ1:1(25 個:25 個)ずつならべる
②並べた碁石を袋の中に入れ、ランダムに10 個選び、親としてならべる。
③親から4 個体子どもが生まれるものとし、親と同じ色の碁石を子のマスに縦に並べる
④②にもどる。親の色がすべて同じ色になれば、そこで終了する。
※写真は、高3での実習のようすです。
これらの結果をグラフ化すると、さまざまなバリエーションが生じます。
※このグラフは、高2の生徒が作成したものです。
碁石の数が、十分多くなかった(50個体)ので、非常に偏りのある結果が出たり、逆に均一な結果が出たりしました。これは、集団が小さいと遺伝的浮動の影響が大きくなりやすく、集団全体の遺伝的構成が偏ってしまう恐れがあることを示しています。今回のシミュレーションをもとに、それが実感できたのではないかと思います。(竹谷)